その日俺はすごく憂鬱だった。
俺の気分を察したかのように朝だというのに窓から見える空模様はどんよりと曇天が広がっていた。
今日は一週間の始まりの日なのだ。
昨日までの麗らかな気分を台無しにしてくれるような目覚まし時計の騒音は俺に学校が始まったことを告げていた。
頭の奥を不愉快に刺激する目覚めの合図が鳴り響く中、俺の布団はしっかりと俺を抱きかかえていた。
そろそろ起きないとな……。そう頭の中で呟いて布団からの脱出を試みるが手足が鉛のように重かった。
どうやら俺の体は睡眠欲の支配下にあるらしい。
嗚呼、なんて面倒なんだ……。俺は今日ある講義を休んだ回数を数えながら単位について考えていた。
3回まではセーフなんだよな……、でも……今日は行くか。
ようやく決心のついた俺はいい加減ご近所さんの迷惑になってる騒音の元を止めるべくベッドから抜け出ることに成功した。
折角出席する気になった俺の気まぐれな心が挫ける前に俺は早々に準備をして出発することにした。
住宅街の端に悠然と建っているアパートから出た俺は今週が始まったばかりだという事実とこれから始まる講義の退屈さにため息をついた。
出来るだけ楽に単位を取ることは出来ないものか……俺のもっぱらの考え事はこんなことばっかりである。
特に親しい友達が大学で出来ているわけでもなく、サークルに属しているわけでもない俺はぼっち充を満喫していた。
サークルか……なんか入るかな……。実行する気もないことをつれづれと妄想しながらサークル募集の掲示板に目を向けると実に様々な文から武まで、硬派なものから軟派なものまで、巫山戯ているのか真面目なのか分からないようなビラが大量に陳列していた。
別段体育会系でもなく出来るだけ楽をして過ごしていくのが目的な俺は必然、文化系で楽そうなのを探していた。
だがこれといった特技や趣味もなかった俺は新しく何かを練習する気にもなれず音楽系も除外した。
何か思い入れがあるわけでもないのに好き嫌いが多い俺にとって人と意見がぶつかりそうなサークルもだめだな……
面倒ごとは避ければ楽に行けるのだが、ついつい口を出してしまうのが俺の悪い癖だな。
いつものように自分本位な自己解析をしながら何の気なしにビラを眺めていると、あるセンスの野暮ったい案内が目についた。
その紙にはディスプレイの絵と地図があり部員を募集している旨の内容が記されていた。サークルの名前はMCR研究会というようだ。
ビラの内容から察するにPC関係やプログラミングのことについて学ぶのだろうか。
活動日は火曜の昼休みと随分と短く書いてあり、その時間にプログラミングの何が勉強できるのか可笑しく思った。
そうこうしている間に随分と時間をかけて掲示板を見ていたのか授業の開始を告げるチャイムが構内に鳴り響いた。
やれやれ……そう思いながら俺は特に急ぐわけもなく歩いて教室へ向かった。
「ふう……」
本日履修していた講義を順調に終えると若干の疲労感からついため息をついてしまった。
時刻は午後4時12分。4限終わりである。
退屈な授業中に携帯を使ってMCRというサークルのホームページを見て得た情報によると、
火曜の昼休みにやっているのは連絡会のようなものであり4限終わりの放課後から活動しているらしい。
別に入りたいと思ったわけではなかったのだが、授業中に調べようと思う程度には気になったようだ。
どうせなら見学に行ってみようか……。面倒くさがりという己のアイデンティティと好奇心との鬩ぎ合いが続いていた。
大学生活で活動する拠点となる場所くらい欲しいし、見るだけでも行ってみよう。そう思うことにして地図にあるBOXへと俺は向かうことにした。
地図にあった建物は随分と端のほうにあり外から見ればわりと綺麗な建物だったのだが、中に入ると薄暗くてじめじめしていた。
この時点で帰ろうか……と心の片隅で呟いた一方でここまできて後には引けないだろ。と思い地図にあるBOXの扉の前へ立った。
扉の窓は段ボールか何かで封じられており明かりは見えないが扉の下部にある通気口のようなものから明かりが覗いていた。どうやら人はいるようだ。良かった、ここまできて誰もいなかったら本当に骨折り損のくたびれもうけだったというものだ。
心の準備をしてドアノブを掴んで手首を回した。
「ツモ、リーチ一発裏3 6000オール。」
俺がサークルのBOXというものを見た最初の光景は麻雀をやっている上回生らしき人たちだった。
帰ろうかと思った。
「すみません、見学に来たんですけどよろしいですか」
ここまで来たのだから、と当初の目的を果たすことにした。
よく見ると麻雀をしている人の他にも部員らしき人たちがいてその人たちに歓迎され、中に入るよう促された。
BOXの中へ入って内装をよく見渡すと、なるほどPC系サークルを名乗るだけあってPCが5個ほどあった。
部員の人にノートに名前と学部学科を書いていくよう頼まれそれに応えた後でサークルの説明を受けた。
このサークルでは1回生は5月から7月にかけてプログラミングの講習を個人で先輩に教わりながら受けてもらうってこと。それを元に銀杏祭で何か簡単なものを作ること。講習以外のときは放課後に暇な部員たちが集まっていろいろゲームをして遊んでいること等である。
プログラミングはほんの少し興味があった程度だった。子供時代がTVゲーム全盛期、ネットゲーム全盛期だった俺たちの世代はそれに触れてさえいれば全く興味がないってやつはいないだろう。
最初は変なサークルだと思った。次に楽そうなサークルだと思ったのが本音だった。しかし俺の心は好奇心から興味に確実に変化を遂げていた。
同時にサークルへの偏見や誤解といったものが解けていくのを感じた。サークルはやりたいことをやりたい人たちが集まるものだと思っていたからだ。しかし実際はどうだろうか、『ちょっと気になった。』という程度の気持ちで見学に来ただけで入るつもりなんて毛頭なかったのに、今俺の心の天秤は興味へと傾いてしまった。
このサークルだったら何か趣味や特技が見つかるかもしれない。
このサークルだったら憂鬱な今日を素晴らしい一日に変えるコトが出来るかもしれない。
このサークルだったら確かに価値はあるんだと思える友人に出会えるかもしれない。
まだ俺は何か見つけたわけでもないし何ができるわけでもない。
でも俺は今日"ちょっと気になる"という勘にも似た感覚のおかげで何かを得る可能性の未来を得たんだと思う。
自分が将来何が出来るか、何が好きかを決めるのは自分次第だと思う。そしてそれはそうなりうる環境へ踏みいることに対しても同様なんだと思う。
そう思って俺は密かにこのサークルへ入ることを決めた。
幸運なことに高校の時に麻雀を少し知っていた俺は先輩方と麻雀を1局だけ打たせてもらい、今日のところは帰ることにした。
「明日も来ていいですか?」
「もちろん!」
そう言ってもらって俺はまた明日MCRのBOXへと足を運ぶのであった。
-完-
はいさーい
黒歴史を絶賛作成中です。
図形科学Aの作図をし終えて理系脳をリフレッシュさせるために勢いで書いたんだ。
ちなみに思いついたのは6時間前?LoLをやりながら書いてたから途中わりと適当
いやこれも言い訳。所詮は素人の処女作。そしてこれも言い訳
もはや駄作と言うに一片の迷いもない
ちなみに主人公は私が思うやれやれ系主人公です。
なんだかんだゴミ駄文形式になっておりますが
随所MCRの情報が書いてあります。
ちなみに主人公が作者を元にとかいう恥ずかしいパターンはありません。
いや余計恥ずかしいか。妄想主人公です。こういう後輩欲しい。
私は最初見たときから入るつもりだったので(学部的な意味と過去問的な意味で
居場所が欲しかったのはアル。
拠点を作るためにサークルに入るのは悪くないと思います。むしろいいことだと思います。
サークルでの活動はついで程度で先輩や後輩との交流を深めるのが本懐ってのも醍醐味ですし。
さてこれを勢いで書いたのはいいんだけどまだ冷静になりきれてないからそんなに恥ずかしくないし、
ただこれ残しておくと今度ブログ見たときに死にたくなりそうだから一ヶ月以内に消すかもしれん。